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2021.09.28

何モノにも消費されないエロスとは?
女優・冨手麻妙と写真家・野村恵子によるフォトセッションから生まれた、新たなる挑戦。身体を通して、作品を創り上げていく過程や今後の表現について語っていただきます。

第二回目は女優として、冨手麻妙として裸との関わりから生まれてきたものとは何か? 
裸に関わる写真を作品のテーマとして取組んでいる野村恵子の対談形式でお送りいたします。
二人が取組んでいる、プロジェクトとはいったい何なのか?

――一回目の連載の野村さんの文章を、冨手さんは読まれましたか?

麻妙 はい。あのまんまで、本当の話です。ベトナムの写真集が出たときは、私のデビュー10周年ということもあり、あと、全裸監督〈シーズン1〉の公開も控えていたので、その記念として刊行しようと、「月刊シリーズ」のプロデューサーのイワタさんからお話をいただきました。私としては、写真集はその前も出していたので、正直それほど乗り気ではありませんでした。

前回の写真集『裸身』もプロデューサーはイワタさんで、写真家の沢渡朔さんに撮影して頂きました。そのときの撮影はセミヌ-ドでバストトップも透けて見えているくらいでした。もし今回、写真集を出して脱ぐのであれば、男性カメラマンでなく女性のカメラマンが良いとイワタさんにお願いしました。

 
――女性のカメラマンにお願いしたい、というのはなぜですか?

麻妙 沢渡さんはもちろん、凄い写真家さんですが『裸身』を撮影して頂いたとき、やはり男性目線的なエロスというか、男性に向けたポーズや昭和ロマンポルノ的な雰囲気を求められているかな?と感じていました。映画やドラマの役柄のなかで、女優としてそういったものを求められることは良いのですが、今回の写真集で冨手麻妙として撮影されるときは、男性目線に媚びるようなポ-ズでは無いなと思いました。アイドル時代もさんざんやってきたので。
それで、イワタさんに野村恵子さんが撮影された「月刊 満島ひかり」を見せてもらって、「かっこいい、このひとに撮られたい!」とピンときました。

野村 そして、打合せとなり麻妙さんと初めて会うことになったんだよね。私は知人の写真展レセプション前で、着物姿で打合せにいったのですが(笑)

麻妙 そうそう、なんかパンチ効いた女性だなと。そして、野村さんに男性に媚びた写真は撮られたくない!とかいろいろ話したら同意してくれて……。

野村 同意というか、うなずいていただけだけどね。

麻妙 まぁ、わかってくれてはいるな、と。

 
――当時の麻妙さんの写真集となると、男性ファンにターゲットを向けるという点は、出版元としては売上も含めて意識するところですよね。

麻妙 そうですね。当時の私のファンはやはり男性が圧倒的に多かったので、それはあります。

野村 アイドル時代の撮影でスク-ル水着やら、アイスキャンディーの棒をしゃぶらされて撮られたりしていたんだよね?

麻妙 グラビア時代DVDを何枚か発売しました。どんどん、どんどん衣装の水着のサイズが小さくなったり、内容が過激になっていって、バランスボールとか日焼け止めとか……。基本的には、製作サイドは男性だらけ購買層も9割男性の商品です。自分自身を表現する良いDVD作品を作ろう!ではなく、あくまで男性が喜ぶ性的な表現ばかりで、自分が女性として消費されていく気しかしなかったです。

あの当時は自分にもまだ自信もなくて、これは嫌だ!って、発言すら怖くてできませんでした。
きちんと自分のスタイルを持って、グラビアと言う仕事を前向きにプロとしてやってる人たちは素晴らしいと思います。
私には、何よりグラビアと言う形で自分を表現することが合わなかったということに気づきました。

――いや-なんとも、わかりやすいキャラクターを演じなければいけなかったのですね。

麻妙 そして映画『アンチポルノ』(園子温監督、2016)以降も、映画『娼年』(三浦大輔監督、2018)やNetflix『全裸監督』(2019-2021)でも私は役柄でヌ-ドになっているから。やはり男性からの視線を浴びることはわかっていました。
ただアンチポルノ以降は、脱ぐことやヌ-ドについて質問されることが増え、自分の言葉で発言するようになりました。そのことで以前よりも、女性のファンが増えてくれたと思います。『アンチポルノ』という映画はそのタイトルどおりのテ-マなのでポルノを求めて観にこられた方は、途中で退出された方も結構いたと聞いています。
そんなこともあり、ベトナムの写真集ではもっと女性にも見てもらえるような写真表現にしたかったのです。

野村 男性目線、女性目線ということは、私自身はあまり意識していませんが、男性に受け入れられやすいエロ感というものはわかります。男性もいきなり女性にバーンとサバサバと恥らいもなく脱がれたとしても、たぶん色気は感じないものだと思いますからね。

私は作品の中でヌードはずっと取組んでいるテーマでもあります、それはヌードというよりボディ=身体を撮影している感覚で、被写体のモデルも作品の中では匿名で、仕事で麻妙さんのような女優さんを撮影するときとは、撮る方向性もちょっと違うんですよ。

しかし、「月刊シリーズ」はアートとグラビアのニュートラルなギリギリを、ずっと目指してこられたので、実験的なこともされてきた写真集シリーズでもあります。私たちがやりたいという方向性に関して理解は示して頂けたのですが、やはりグラビアであることには変わりなく、冨手麻妙という女優の色気や魅力を彼女のファンに向けてしっかりと引き出すということは求められました。
連載一回目にも書きましたが、女優の役柄を演じるのはいやだという彼女の意向もあり、ストーリーを創らないのであれば、旅というストーリーの中で冨手麻妙を撮影しようという話になり。撮影が冬場だったので、暖かいところへ、という話からベトナムになり麻妙さんは、かなり努力して身体を創りあげてきました。

麻妙 私は他の女優さんやタレントさんに比べたら、もともと肉付きが良いほうなんです。グラビアのコメントで太っているとかいろいろ心無いコメントを見たこともあります。でも、いまの自分の身体に自身を持ちたい、100点だと思いたい。そのためにトレーニングで身体を鍛える、撮影まえは大好きなお酒も浮腫みやすい食べ物も断ちます。

エステにも通います。そうやって全力で努力してから身体を見せる。その身体が自分の衣装になっている感覚です。とくに最近も身体を見せる仕事が続いているので。

――ベトナムの写真集が出たあとのお話を聞かせていただけますか?

麻妙 私は野村さんが撮影してセレクトしたものには、信頼もできていたので、もうすべてお任せしました。

――野村さんは、どうでしたか?

野村 やはり写真集の半分くらいはヌ-ドとアイドルっぽい写真の構成になりました。ベトナムの現場では、人のいない室内でしかヌードは撮れませんでした。臨場感のある旅の写真、冨手麻妙として良いものは沢山あったんのですが、まぁ仕方ないですね。Amazonやらのコメントには、ヌケないとかヌ-ドが少ないとかなんとか? 色々とコメントされていたようですが。

麻妙 そのコメントについての話も写真集のプロモーションで蔦屋書店さんの銀座と大阪でトークイベントをやらせていただいたときにしましたね。

野村 そうそう。ヌケないとか知らないし!みたいな話を、ほとんどが冨手ファンのお客さんだったのですが、あまりにも麻妙さんが堂々とその思いを語っている姿が頼もしく、おもしろくて。

麻妙 その頃から、個人的なつきあいも始まっていたので、また何か一緒にやりたいね!という話をしていました。

――そしてA&Kプロジェクトで展覧会を開催したり、写真作品も販売をSNSで試みをはじめたのですね。

麻妙 神保町画廊での展覧会もベトナムの写真集プロモーションのひとつとして開催したのですが、作品としてのプリントを販売させて頂きました。

――野村さんは写真家として作品をギャラリーなどで販売されているのと、A&Kプロジェクトの作品をどういう位置づけで販売されたのでしょうか?

野村 この作品については麻妙さんとのコラボレーションということで、作品へのサインも彼女とのダブルネームにしています。そんなことは、私も初めてですし、写真家としてもあまり、誰もやらないことでしょう。そして、新たなコラボレーション作品をなにか作ろうか?という話にもなっていきました、といっている間にコロナ禍の世になり。お互いに仕事も全面的にストップしていたので、具体的にあるもので何かできないか?という話になりました。

――冨手さんは、ご自身の身体の写真作品を自ら宣伝し販売したこと、またコラボレーションについてどう考えていますか?

麻妙 私のインスタグラムから宣伝して、購入希望者の方にベトナム写真集の中から作品を選んで頂き、写真を額装して販売しました。(※この販売プロジェクトは終了しています。)ファンの方々が直接買ってくれたことも嬉しかったです。この制作過程で野村さんとは、ずっと付き合いが続けばいいな、ずっとこれからも私を何年も先まで撮りつづけてほしいと思うようにもなりました。そこからですね、二人でいろいろと今後のプロジェクトを相談しだしたのは。

コラボレーションのきっかけは、ベトナムで撮影しているときに、ふとした思いつきの遊び感覚で街の屋台みたいなTシャツ屋さんでオリジナルのTシャツを作りました。野村さんが撮った写真に、私が好きな言葉「Color of my life with the chaos of trouble」という文字を入れました。映画『500日のサマー』の劇中にでてくる言葉で、トラブルというスパイスまみれの人生って最高!みたいな意味で、ベトナムの撮影中に皆でそれを着て街にでかけたり、日本でのプロモーションイベントでも着て出演しました。

野村 私はあんまり着てなかったですけどね、屋台で簡易に作ったものなので、写真は大きすぎるし、当然デザインがダサくて、ちょっと恥ずかしかったです(笑)。まだ、トートバッグとかなら使うけどね~とかいいながら。

麻妙 それで、写真作品を販売しましたが次に何か他に売れるかっこいいもの作りたいねという話になりました。Tシャツ?とかグッズとかちゃんとデザインして創りたいねと。

野村 そして写真もいいけど、そういえば麻妙ちゃん絵を描いているよね?絵もいいんじゃない? という話になり……。

――冨手さんが絵を描いていることはご存知だったのですか?絵、すごい世界感ですねこの絵をSNSなどで発表をしようと思わなかったのでしょうか。

野村 後々に知りました。サインペンやポ-ルペンですごい細密に、画用紙やノートに直接に書きこんでいました。趣味というより夢でみた世界観みたいなものを衝動的に描いているの。絵も習ったことないとか言っていて。その絵を初めて見たときは「ちょっと頭大丈夫、肩こらない?」と思いましたけど。

麻妙 夢でみたイメージや、夢に必ず出てくる女の子や自由に浮かんだことを描いて。女優という仕事の役柄でも演じ、人前にでるときもどこか冨手麻妙を演じてしまう。でも、絵を描いているときだけが、演じてない自分の自由な世界というか場所というか、素になれる時間なのかもしれません。でも、ちゃんと発表しようとはぜんぜん思っていませんでした。インスタグラムのストーリーにはたまに上げていたりはしましたけど、完全にプライベートの遊びで気ままに描いていたものなので。

でも、野村さんが写真と絵で何かコラボレーションしない?と言われて、今回のA&Kプロジェクトで初めて意識して描きました。それが、私のヌ-ド写真の上から描いた絵です。

冨手麻妙が演じると同じくらいに、描くという行為を大切にしているということそれは裸になることと近いかもしれない。
次回は、その二人のプロジェクトをより詳しくお聞きしてみたいと思います。

女優・冨手麻妙✕写真家・野村恵子

冨手麻妙(Ami TOMITE)
2009年「国民的アイドルオーディション」に合格し芸能界入り。数多くの舞台を踏み芝居経験を重ねる。 「新宿スワン」「リアル鬼ごっこ」「みんな!エスパーだよ!」「東京ヴァンパイアホテル」「Love of Love」と、園子温監督作品に続けて出演し、 初主演映画「アンチポルノ」で注目を浴び始める。最近ではNetflixドラマ「全裸監督」で山本奈緒子を演じ益々の活躍を期待される。

野村恵子(Keiko NOMURA)
1999年に沖縄をテーマにした写真集「DEEP SOUTH」をリトルモアより発表。同名の写真展を渋谷パルコギャラリ-にて開催。人物や風景から滲み出す濃密で切ない空気感、その独特の色彩感覚から力強く紡ぎ出された作品が高く評価された。また俳優を撮り下ろした写真集に「月刊満島ひかり」「月刊冨手麻妙」などの他、個人の作品集やコラボレーション作品、旅や音楽、食に関する取材の本も多数関わり出版されている。

野村恵子WEBサイト