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2021.11.01

女優・冨手麻妙と写真家・野村恵子によるフォトセッションから生まれた、新たなる挑戦。
身体を通して、作品を創り上げていく過程や今後の表現について語っていただきます。
第三回目は対談の最終回。撮る・撮られる関係から、一歩進んだプロジェクトにチャレンジしているものについて伺いました。

――身体で現していくこと、お二人とって改めて、裸(ヌード)を撮り撮られるということはどういうことでしょうか?

野村 私は写真家として作品の中でも、ずっと女性のヌ-ドを撮ってきたのですが、それは自分の写真作品のなかで必要だから撮っていました。
でも、今回は冨手さんと出逢って、彼女の「ヌ-ドを撮られる側の気持ち」ということをいい意味で、とても意識した撮影でした。
私は作品の中では何人かの女性たちを、その方々が若い頃から今もずっと撮り続けています。長い方では20年くらい? 撮影をしています。そして、その女性達の裸を今も撮り続けていますが、やはり年齢を重ねることにより、身体も肌も風貌も少なからず、変わってきています。それが写真の特性というか、写真の持つ力だと思っています。そういった意味でも、これからの冨手さんの身体もずっと撮りつづけたい、という気持ちはもって撮影しています。時間が経つことによりヌ-ド写真の意味も変わってきます、またそれは身体の記録にもなってくるからです。

――裸を撮られる側の気持ちとしてはどうですか?

麻妙  初めて役柄の中で脱ぐということが園子温監督の「アンチポルノ」でした。フランス映画の女優さんにあこがれていて、ほら、フランスの女優さんって役の中でかっこよく脱いでいたりするじゃないですか! あとはずっと監督作品のファンだったので、むしろ、監督に「脱げるか?」と聞かれた時は、「はい!脱ぎたいです!」と答えました。やっと女優としてのスタートラインに立てたというか、そういう気持ちの方が強かったです。「アンチポルノ」の主人公に自分の考え方も似ているし、話の中に出てくるエピソードも自身の体験と似通った話があったんです。私と母親が一緒にてテレビを観ていてもその内容から、私がちょっと性的な話をしたら、父親にものすごい勢いで怒られました。園子温監督も同じような経験があって、ご自分の経験からのお話だったみたいです。台本は監督があたしのことを当て描きされたのか? な、と思ったくらい主人公・京子には共感しました。
そんなこともあり、アンチポルノは自分にとっては本当に運命的な作品でした。
もちろん、そこから脱ぐ役柄も増えましたけど(笑)。
 たとえば与えられた役柄の中で、その人が歩んできた人生を表現するために、脱ぐとか裸をさらけだすことは、物理的に求められているので、正直たいして抵抗はありません。たとえば、全裸監督のAV女優の奈緒子役は全力で挑みました。むしろ、今やっているこの作品づくりに対しては、個人的に悩んでどうしようー、とか言葉にだしていたり、自分の正直な気持ちを話していて、どんどん裸になっていくような気がしていて、私ちょっと大丈夫かな? と感じたりしています。


Stylist:Kyoko Run /Hairmake:Saküra /Graphic:Medium

――これからも冨手さんには、格好良く脱いでくれる女優さんであって欲しいなと思ってしまいました。

麻妙 ずっとこの先何十年もスクリーンで見せられる身体を保てたらいいですが……

野村 身体はおっぱいがきれいで、肌もツルツルじゃないといけない! ということに囚われているんじゃない? ある程度の年齢をむかえて、自分の肌にも身体にも年輪が出てくるけど、それはそれで、そんな自分もいいかなと思える時がくるかもしれないよ。

麻妙 あぁ、なるほど…… 今はまだ、自分の身体に対して、まだなんか観られることへの執着心みたいなものがあるのかもしれない、美しくなきゃ、みたいな? と今思いました。

野村  冨手さんはヌ-ド撮るまえは、パンプアップ100回してから撮影にはいりますよね。凄いなと思いました。欧米の女性って、どんな年齢の女性もどんな体型の人もビ-チで堂々とビキニを着て、なんならセミヌ-ドで、あれカッコいいよね。私はできません。

――これから、チャレンジしていくお二人の作品について教えて頂いてよろしいでしょうか? また、新しいヌードへの可能性についてお聞かせください。

野村 冨手さんと交流を深めていくなかで、二人でもし今後もヌ-ドも含めて写真や作品を作るとしたら、お互いに一緒に創り上げる方法はないかと考えるようになりました。冨手さんが描く絵も、女優としての活動も彼女の考え方も含めて、コラボレーションしてみようと。

麻妙 絵は誰に見せるつもりもなく、自分のために自由に描いていたのですが、野村さんにもっと描いて絵と写真をコラボレーション作品にしようと言われました。いまは作品として、意識を持って描くようになってきています。
また、さっきもお話したように、役として裸になりセミヌ-ドになることはとくに抵抗はないんです。それよりも、むしろ素の自分をさらすというか、自分の考えだったり、絵であったり、そのことをさらすことのほうが戸惑う気持ちがあります。勿論、役者も死ぬまでずっと続けていきたいですが、同じく絵もずっと続けていきたいと思うようになりました。絵を描くことが唯一、いろんなことに囚われず自分が自由になれる場所、行為なので。ただ今は絵にしても、写真を撮られることにしても私は自我が強すぎるのかな、と感じています。これからどこかで自分も変わっていって、もっと素直にいろんなとらわれから自由になれたら、描く絵も変わっていくのかもしれないな、とは思います。

野村 冨手さんには女優さんをずっと続けてほしいし、絵も続けてほしいし。そして、私は彼女を撮り続けていきたいです。今は私が撮影した写真の上から絵を描いてもらったり、いろいろな相互作用の実験をしています。これからも、いろんな形で、他のいろんな方も巻き込みながらコラボレーションができたらと思っています。
エロスは私の個人的な作品のテ-マでもあります。エロよりもエロスは、もっと本能的というか根源的な、生命力みたいなものだと感じています。冨手さんには独特な生命力の強さ、というかカオスのエネルギーオ-ラを感じています。それがこれから一緒に表現できていければ、と思っています。
冨手さんにはエロスの女神でいてほしいですね。エロスの反対の言葉って、タナトス、つまり死なんです。生命力の強さ、生きる力の強さ、そんなものがエロスに繋がると思うし、このコラボレーションがお互いに、もっと自由に強く生きていくことだったり、新しい表現へのきっかけになればとも思っています。

麻妙 タナトス……アンチポルノのセリフの中にもあった気がする。
カオスや生命力のエロスいいですね!今まで撮影したベトナムも、大塚も、大阪も生命力とカオス感の強い場所でした。いろいろと野村さんとのこのプロジェクトはつづけていきたいですね。

野村 街にも、カオスや生命力ありますもんね。都市や自然、どこでも生命力の強い場所に入っても負けない強さが冨手さんにはあるから。もっとやりましょう!

何モノにも消費されないエロスと美しさを追求している、彼女たちはこれからも年を重ねるごとに強く逞しい作品を生み出していくだろう感じた。
最終回は、現在まで撮影されている作品をご紹介して頂きます、おたのしみに!


Stylist:Kyoko Run /Hairmake:Saküra /Graphic:Medium

女優・冨手麻妙✕写真家・野村恵子

冨手麻妙(Ami TOMITE)
2009年「国民的アイドルオーディション」に合格し芸能界入り。数多くの舞台を踏み芝居経験を重ねる。 「新宿スワン」「リアル鬼ごっこ」「みんな!エスパーだよ!」「東京ヴァンパイアホテル」「Love of Love」と、園子温監督作品に続けて出演し、 初主演映画「アンチポルノ」で注目を浴び始める。最近ではNetflixドラマ「全裸監督」で山本奈緒子を演じ益々の活躍を期待される。

野村恵子(Keiko NOMURA)
1999年に沖縄をテーマにした写真集「DEEP SOUTH」をリトルモアより発表。同名の写真展を渋谷パルコギャラリ-にて開催。人物や風景から滲み出す濃密で切ない空気感、その独特の色彩感覚から力強く紡ぎ出された作品が高く評価された。また俳優を撮り下ろした写真集に「月刊満島ひかり」「月刊冨手麻妙」などの他、個人の作品集やコラボレーション作品、旅や音楽、食に関する取材の本も多数関わり出版されている。

野村恵子WEBサイト