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春がいっぱい

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2022.02.09

02 アクリル看板

haco

街の中に潜むキュートなモチーフや建物、風景をお菓子で表現するスイーツ作家hacoさん。今回から街の気になった一部分を切り取って、アイシングクッキーで描く連載「Eatable City」。hacoさんのフィルターを通して見ると、街の中にはお菓子みたいなモチーフがたくさん。お菓子目線で街を歩けば、いつもの景色がかわいらしく思えてくるかもしれません。


 

街を歩くと、様々な色でつくられた看板に目がいく。おもしろいデザインのものやシンプルなもの、素材も色々あるけれど、特にアクリル板でできた、夜光るタイプの看板が好き。今回は、いろんな街のアクリル看板をつくった。

新宿 東新ビルの看板


新宿駅の北東、靖国通りの下に広がる地下街新宿サブナードの一角にある東新ビルの、矢印がレインボーカラーに光るアクリル看板。


はじめに見たのはいつか覚えていないけれど、サブナードを通るたび、まだ無事でいるか、新しくされていないか確認するようにしている。


2015〜2017年の間のどこかのタイミングでリニューアルされたみたいだけど、新しい看板も以前のテイストを引き継いでいて嬉しかった。クッキーは文字や矢印の形が少し違ってよりかわいかった、リニューアル前のものをつくってみた。よく見たら、看板が区切られている部分によって矢印の色が微妙に違うのに気付き、少しずつ色を変えながら描いた。

初台 クリーニング屋さんの看板


初台駅の南側にある商店街、「初台商盛会」にあったクリーニング屋さんの、ターゲットマークみたいな看板。


配色はもちろん、黒い円の部分が「C」で、そのあとに「LEANING」と続くデザインが最高にかっこよくて、絶対にクッキーにしたいと思っていた。


ここも近くに来るたび見に行っていたのだけれど、今回久しぶりに来てみたら、隣にあった薬局とともに解体されていてショックだった。あの看板がもう見られないのは悲しいけれど、わたしの心の中には、看板があった風景がずっと刻まれている。細かい文字が多くて、息を止めながら書いた。「鈴長」が思いのほか上手に書けたので嬉しかった。

立川 食堂の看板


2年ほど前、街で見かけた電話マークを紹介する、ちょっと変わったイベントを開催した。紹介するための電話マークを探し回っていたときにたまたま見つけた、ファンシーな電話マークの看板。切り抜かれたアクリルが貼り付けられ、立体的になっている。


電話の真ん中がなぜか格子状で、テニスのラケットみたい。


「TEL」と書いてあるのに電話番号がないこと、あと、「カードも可」の意味がはじめ分からなかったのだけど、どうやら「公衆電話があります。テレホンカードも使えます」という意味のようだ。鳴っている電話を表しているみたいに、少し波打っているTELの文字を表現するとき、楽しい気持ちになった。

中野ブロードウェイの看板


中野ブロードウェイの正面入り口を入ってすぐ、左手側の黄色い壁にある、リボンを折り曲げたような形のかわいい看板。


8年ほど中野に住んでいたし、ブロードウェイにも頻繁に行っていたのだけど、いつも階段は使わずに、まんだらけやタコシェのある3階へ直通で行けるエレベーターに乗ってしまっていたので、この看板の存在に気付いたのは数年前。

こんなかわいい看板に今まで気付かなかったなんて…!と、その日は他にもブロードウェイにかわいいディテールがないか探し回った。


周りの電球が発光しているように見せたくて、銀色のアラザンに黄色の色素をまぶして乾かしたものを白いアイシングに並べ、水分で色素が溶け出して、アラザンの周りが少し黄色く滲むようにした。

haco

アイシングクッキーやバターケーキなどで、街にあるモチーフを表現するお菓子作家として活動中。東京ビルさんぽメンバーとして「いいビルの世界 東京ハンサムイースト」(大福書林刊)に携わる。2022年にはトゥーヴァージンズから『秀和レジデンス図鑑』を刊行予定。1960〜70年代に建てられた、とくにデコボコ、ギザギザしたヴィンテージマンションや駅の床にある矢印を撮り集めている。