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2022.02.08

三木道三『リディムくんとメロディちゃん』刊行記念インタビュー

NeWORLD 編集部

 
『Lifetime Respect』で一世を風靡したレゲエシンガー、三木道三(DOZAN11)が、今回
初めて絵本の文と監修を担当。ビビットな色彩と愛らしくもどこかストレンジな作風が人気の英国出身のアーティスト、ロブ・キドニーとタッグを組み、韻(ライム)とオノマトペを多用し、ラップのできる絵本として評判を呼んでいる。『リディムくんとメロディーちゃん』に込めた思いや制作意図についてうかがった。

 

 
――今回、初めての絵本作品を出版されましたが、絵本を書こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

この「ライム絵本」(※ ライム=韻を踏む)は、僕が以前にリリースした“画像から音楽を作成する”スマホ音楽アプリ「mupic」から続いている作品です。

「mupic」を作っている過程で、絵本に音楽をつけて文を歌にしたら、子供が好きな絵本のBGMを自分で作ったり、「歌絵本」を自分で作れて良いんじゃないか、と思っていいました。その発想から「mupic」を一緒に作った僕の弟が絵本の企画もまとめてくれました。

 

 
――“ライムする絵本”は、なぜ、そして、どのような想いで作られましたか?

僕が、歌えるような文章を書いて絵本を作るなら、当然今まで自分が作詞してきたようにライムをします。

韻を踏む、というのは、現代のヒップホップのラップが代表格ですが、欧州、中東、インド、中国などの歌や詩では、古くから現代まで定着している文化です。

シェークスピアのセリフやベートーベンのいわゆる「第九」も韻を踏んでいるし、中国でも紀元前の漢詩で既に韻を踏んでいます。僕がずっとやってきたダンスホールレゲエでも基本的で重要な要素です。

しかし、日本にはそれらの詩や歌が渡来して意味は訳されても、韻を踏むことが文化、芸術として重要視されたり、詩や歌詞を作る基本要素にはならないまま現代に至りました。

僕はこの歌の中の「ライム」がとても好きで、作詞の際に毎回こだわって来た技術であり遊びであり、日本の音楽文化に持ち込みたかったもののひとつです。

湧いてくる情緒を紡ぐだけで十分である作詞に、更にライムをしながら文を成立させる知性と、それを打楽器的なボーカル技術で演奏の一部にさせる身体的なセンスなどが合わさって出来るとてもカッコいいもんだと思ったからです。

ライムのよくできた歌は、ループする音楽の構成の中で、ボーカルをビートに当てる歌い方や、ライムから広がる歌詞の膨らみや、音と意味の布石が同時に回収される気持ち良さなどで、歌詞の内容だけじゃない豊かさを感じられます。

絵本を読んでいただくお子さんに、言葉の意味と音で遊ぶ原体験を提供できたらな〜、というのが今作での僕の野望です。

お子さんに読んであげる大人の方には、歌やラップにしていただいたら最高ですが、今作はお子さん達にキャッチしてもらいやすいように、オノマトペ(擬音語、擬声語、擬態語など)をふんだんに使っており、そのまま読んでいただいても十分、言葉遊びは伝わると思います。

 

 
――タイトルはどのように決まったのでしょうか?

この「リディムくんとメロディーちゃん」の「リディム(Riddim)」というのは、「リズムRhythm」のジャマイカ訛りです。
リズムとメロディーは意味以外では歌、音楽創造と実演の肝の要素です。それをこの歌える物語の主役にしてタイトルにしました。

「リディムくんとメロディーちゃんのコンビが“リディムとメロディー”に乗って、ライムしながら住んでいる街を駆け回って楽しんでいる!」
というイメージで制作しました。

 

 
――作画もとても個性的ですよね。

絵の方はイギリス出身のイラストレーター、ロブ・キドニーさんにお願いすることによって、外国からやってきた「ライム」という文化を楽しむ為の絵本にピッタリの、日本の絵本ではあまり見かけないタイプのクッキリとしてカワイイ色使いと絵柄の絵本になって非常に喜んでいます。
大当たりでした。

 

 
――読者の方々にメッセージなどありましたらお願いいたします。

本書が、読んでくださる皆さんの、幸せな思い出に一部になってくれれば、お届けする僕たちの幸せもこの上ないです。

 

 
DOZANTV

音楽アプリ「mupic」を使って歌う様に三木道三(DOZAN11)が読み上げています。
「リディムくんとメロディーちゃん 」紹介と読み聞かせ実演!

「リディムくんとメロディーちゃん 」読み聞かせ実演!第2弾

※『mupic』は、三木道三(DOZAN11)がプロデューサー・ディレクターを担当し、2019年にリリースしたアプリ。画像の色から音楽を生成し、設定を変えることで、多様なアレンジができる。iOSとAndroidに対応。三木道三(DOZAN11)は、絵本から音楽を生成し、ラップのように読み聞かせをする実演動画を公開している。
『mupic』 https://mupic.jp/

 

三木道三 (DOZAN11)
1996年、三木道三としてデュー。2001年、『Lifetime Respect』で、日本のレゲエ史上初めてオリコンチャート1位となる。2002年、歌手活動を引退、作家・プロデューサーに。2014年、DOZAN11名義で歌手活動再開。
音楽アプリ『mupic』開発。無農薬野菜販売サイト「大和月ヶ瀬自然農園」、オンラインサロン「DOZAN Salon」運営。生配信アプリ「ポコチャ」トップライバー。一児の父。